これはicloudに接続する時に発生したエラーです。このようなメッセージが発生したらどう思いますか。
パスワードが間違ったかな?ネットに繋がっていないのかな?アカウントがハッキングされたかな?
いろんなことが思い浮かびます。
溜まった写真のバックアップや新しい端末を購入した時にウキウキした気持ちだったのに、エラーが発生して、しかもその原因がなかなか解決できずに、思ったより時間がかかって1日無駄にしたり、イラっとした経験があるかと思います。(私はかなりあります。)
iPhone好きだし、アップル製品は好きなのに、問題がl発生した時になかなか解決できず、しかもサポートセンターもなかなかつながらない時は、もうアップル製品使いたくないなんて思うこともありますよね。
このようにエラーメッセージは意外と利用者に対して、悪い印象を残してしまうこともあります。そのために、しっかり考慮しないといけないです。
しかし、システム開発に携わったことがある人はわかると思いますが、エラーメッセージの設計なんて、最後に誰かが適当に決めることが多いです。(最も後回しになりがちなタスクですね)
エラーメッセージのバリュー
エラーメッセージが最も提供すべき価値は、「案内、navigation」です。つまり、利用者がこのメッセージを見た時に、次に行う行動を案内しなければなりません。
- 利用者がどんな状況に置かれており(ステータス)
- なぜエラーが発生し(理由)
- どうすればエラーが発生せずやりたいことができるか(解決策)
このようなことを満たす、エラーメッセージの原則が6つあります。
1.一番良いエラーは「発生しないエラー」
エラーメッセージは利用者が何らかアクションをしたときに、発生します。
例えば、メールを送信する時に宛先に誰も入ってないときはエラーが発生します。
しかし、このエラーは必要でしょうか。
そもそも宛先に誰も入れていない時には、メールの送信ボタンを押せなくすれば、わざわざエラーにする必要もないです。
最近はUIを改善することで、そもそも間違わないようにデザインする製品が高く評価されます。
2.適切なコンポーネントの利用
コンポーネントの意味は「部品」です。UIの世界で言う部品とは、ラジオボタン、入力フィルドなどです。エラーメッセージについて、十分な説明が必要な場合はダイヤログボックを使って、次のアクションにつなげてあげるのが親切ですが、簡単にトーストを使うとユーザは内容を理解しようともしなくなってしまいます。
また、緊急な内容でもないのに、赤文字を使ってしまうと、ユーザは深刻に受け止めてしまうこともあります。
3.自分で解決できる方法を教える
適切なコンポーネントを選んだら、この中身に何を入れるかを考えなければなりません。エラーメッセージを見たユーザーが一番望んでいるものは何でしょうか。ユーザーはエラーが発生している状況をから脱出し、次のプロセスに進みたいはずです。
そのためには、「どのようなアクションを行えば解決するのか」という情報が必要です。これがエラーメッセージの本質であり、6つの原則の中でも最も大事なことです。
A:認証エラーが発生しました。
B:ユーザーIDスまたはパスワードが正しくありません。パスワードを忘れた場合はこちらのページでパスワードをリセットしてください。
上記、AとBのメッセージはログインページでよく見かけられるエラーメッセージです。Aは現在のステータスを示しているだけですが、Bの場合は次のプロセスに進められない理由とその解決策を示しているので、より良いエラーメッセージだといえます。
4.ユーザーが理解できる言葉で説明する
ユーザーの立場から解決策を伝えることも重要です。
A:決済処理に失敗しました。
B:クレジットカードの有効期限が切れています。
このメッセージは期間が切れたクレジットカードで決済する時に発生するエラーです。
実際にはシステムで決済処理が行えず例外処理されたカードなので、「決済処理に失敗」という文言を書いていますが、ユーザーの立場からすると少し違和感がある言葉です。
ユーザーが直接エラーを解決できるように、ユーザーの立場で理由を話す必要があります。
正しい言葉であっても、ユーザー目線の言葉で表現しないと解釈にストレスを感じてしまいます。
5.解決できる一番の近道を教える
ユーザーに解決策を伝えても、解決するプロセスが複雑すぎて、ユーザーがあきらめてしまうとあまり意味がないです。
解決策を教えることも重要ですが、それを最小限のコストで実行できるようにするのもエラーメッセージの役割です。
例えば、「カスタマーセンターにお問い合わせください」というメッセージを表示しましたが、ユーザーがカスタマーセンターの電話番号を調べたり、見つかなかったり、電話するためにアプリを一度閉じたりしないといけなければ、「めんどう」だと思ってしまいがちです。
そんなユーザーの手間を省くために、メッセージボックから直接カスタマーセンターの問い合わせフォームや電話ができるボタンを設けておくと、すぐに問い合わせできます。
6.できるだけポジティブな表現で伝える
今までの原則をすべて守ればサービスを提供する側の最善を尽くしたかと思います。
しかし、それでもユーザーは本来期待していた画面に進められなかった事実は変わりません。
ある意味小さな「失敗」をしたわけですから、できるだけその気持ちを配慮したコミュニケーションをしてあげた方が良いです。
エラーメッセージが表示される状況はユーザーにとってネガティブな状況になります。それをできるだけポジティブに伝えてあげた方が、ユーザーは挫折せずポジティブに次のアクションを行います。子供もたくさんほめてあげた方が成長しますよね?!
「~~しなければなりません」「~~できません」のような表現よりは「~~すればできます」という方がユーザーとのコミュニケーションでは必要です。
エラーメッセージを決める際にはこのような6つの原則に沿って決めるとユーザビリティが高くなります。チェックリストとして活用しながらエラーメッセージを作成してみたらいかががでしょうか。